#006 「記憶のアトリエ」in 兵庫

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2019年4月6日(土)13:00-17:30 まで、兵庫県宝塚市にあるとある小屋で 「記憶のアトリエ」 をひらきました。

この小屋のオーナーのけいこさんは、県内にある心療内科のクリニックで10年以上 、来院者のおはなしを聴くことを続けていらっしゃる心理カウンセラーさん。ご夫婦で紙芝居ユニットとしても活動されています。

けいこさんとはがん経験の有無に関わらず“大切な記憶”に触れ、綴じるひとときもお贈りできたらなと、どなたでもお越しいただけるアトリエとして昨年冬に初開催しました。

「来年は春夏秋冬と季節ごとにひらけたら」というおはなしになり、お約束していたとおりお庭の桜が咲く頃に春のアトリエをひらきました。(けいこさんとの出会いや昨年冬の開催の様子は、前回のアトリエレポートに綴っています)

「桜のころに開催できるかな?」と春先から気候や蕾の様子を見守りながらの日々。寒い日が続いたこともあり、アトリエ当日はまだまだ咲きはじめの桜でしたが…青空をほんのり春色に染めて、静かに迎えてくれました。とてもあたたかかったので、縁側もあけっぱなしで。春の風と香りが小屋じゅうに広がっていました。

以前「記憶のアトリエ」の“記憶”についてという文章でも綴ったとおり 、「“大切な記憶”に触れ、綴じるひとときをお贈りしたい」という気持ちからはじめた小さな移動アトリエです。

アトリエには、わたしが今まで預かってきた「誰かの大切な記憶」を綴じた小さな本や「ご自身の大切な記憶」を綴じることのできる本づくりの道具や素材が並んでいます。

そしてそれらと一緒に、アトリエをひらく場所やお家の「大切な記憶」も、少し一緒に置いていただくようにお願いしています。今回もけいこさんが、ご自宅にあるたくさんの本から記憶のアトリエのために選んで並べてくださっていました。「旅したい本たち連合」という、持ち帰り自由な書籍や絵本のコーナーもあり、お越しくださった方の手に渡った本も。 紙芝居小屋の木の下には普段読まれている紙芝居、トランクの上には絵本や昔の小さなおもちゃ。

よくよく見ると、冬のアトリエとは違う春の記憶がそこかしこにちりばめられていました。 けいこさんの細やかな、そしてちょっぴりユーモアの種も交えた「設え」が、わたしも含めてアトリエにいる人の心にじんわり届いて、それがその日の雰囲気をつくってくれているように感じています。

春のアトリエは、いつもより少しゆっくり13時のオープン。しばらくすると「桜、切ってきたよー」という声とともに、かげあつめでご一緒した浅井さんがお越しくださいました。机いっぱいに咲いたのは、桜色の紙を切り抜いた桜のシルエット。春のアトリエにと寄付してくださいました。

後からもうひとり、ふたり……みなさんアトリエ用にと学生の頃大切に集めていたシールをくださったり、近所で拾った桜の押し花を持ってきてくださったり。 集まった記憶をみなさんで交わしながら、アトリエにある本に触れながら、春の風を感じながらの静かな時間が流れます。

しばらくすると、本づくりの時間に。思い思いに素材や画材を手にとりながら、真っ白な本にそれぞれの記憶が綴られていきます。 みなさんそれぞれの本を余白を見つめながら、手を動かしながら、ぽつぽつ、ぽんぽんとそれぞれの記憶や想いを交わしていらっしゃいました。

誰かが手にとった記憶の欠片から会話がはじまったり、誰かがほろりとこぼした一言から、隣にいた方の本のタイトルが決まったり。お互いに本を交換して読みあってみたり。 そんなひとときが今日の記憶としてみなさんの心に残ってゆく。その様子を見つめる時間から感じることがたくさんありました。17時半までの4時間半、今日もあっという間でした。

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そんなこんなで、今回のアトリエは春の色と香りに包まれた1日になりました。

いつも綴っていることですが「記憶のアトリエ」は「大切な記憶に触れ、綴じる」ということばだけを置いた空間です。お越しになる方々の経験や立場もそれぞれ。「はじめましての方が、小さな空間で気持ち良くともに過ごす」ということが成り立つのは、そこに集われたお一人おひとりが、お互いへの小さな思いやりを持ち寄ってお過ごしくださってこそだといつも感じています。

今回もお越しくださったみなさんが笑顔で居て、笑顔で帰ってくださったのは、他の誰でもないみなさんのおかげさま。そしてト心地の良い空間をひらいてくださったオーナーのけいこさんのおかげさま。 アトリエを終えていつも感じることですが、本当に有り難く、かけがえのないことだと感じています。

トコテコ紙芝居小屋では、また夏秋冬と開催の予定です。 また季節が変わるころ、緑いっぱいの桜の木と、本と記憶とともにお待ちしています。

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